漫画『インベスターZ』で学ぶ投資心得とは?

漫画『インベスターZ』で学ぶ投資心得とは?

漫画『インベスターZ』で学ぶ投資心得とは?

買っていい株 ダメな株

今回(2015年4月25日号)の週刊東洋経済の見出しはインパクトがある。『特集 買っていい株 ダメな株』というタイトルだ。

週刊東洋経済
週刊東洋経済(Amazon)

最近経済誌がこぞって株式投資の特集を組んでいる。投資と英会話上達の特集を組むと売上部数が伸びるそうだ。それだけ多くの人が投資に興味を持っているということなのだろう。

今回の特集記事で興味深かった章を紹介したい。

漫画『インベスターZ』で学ぶ投資心得

インベスターZという漫画をご存知だろうか?週刊モーニングで連載中の経済漫画だ。ドラゴン桜やエンゼルバンク、マネーの拳などを手がけた三田紀房氏の最新連載だ。

インベスターZ
インベスターZ第1巻(Amazon)

AmazonのKindle版であれば500円で購入できる。現時点(2016年7月25日)で第13巻まで出版されている。

この漫画が週刊東洋経済の特集で大きく取り上げられているのだ。

漫画のあらすじはWikipediaから引用する。

北海道札幌市にある道塾学園は、全国屈指の学業成績を誇る私立の男子中高一貫校。炭鉱開発や漁業によって財を成した豪商・藤田金七により創設された。彼の方針により、開校以来生徒やその家族には授業料などの金銭的負担を一切かけないことになっている。
入学試験満点の成績で道塾に入学した財前孝史は、始業初日の放課後に野球部の活動に加わろうとしていたところ、ちょうど野球部まで案内するという先輩に出会う。しかし、行先は校内図書館奥の扉からさらに先にある地下室であった。そこでマージャンをして遊んでいた数人の生徒は、自分たちは学校の運営資金を稼ぎ出す「投資部」であると名乗る。
財前は、得体の知れない投資部という存在に疑念を抱きながらも、マージャンで遊べるのならということで活動に参加することにする。

引用:Wikipedia

投資部に入部した中学生の主人公が、いきなり100億円という運用資金を一任されるという破天荒なストーリー。投資の失敗と成功を通じて主人公の財前が成長していく過程をリアルに描いている点が人気の秘密だ。

たかが漫画と思ってバカにすることはできない。綿密なリサーチをベースにした練りに練られたストーリーは、マンガ好きだけでなく、多くの投資家が引き込まれる。実際にこうして東洋経済にも取り上げられるほどだ。

『インベスターZ』は初心者にも、ある程度の経験がある投資家にも「気づき」が得られる、投資をテーマにした漫画だ。

作者の三田紀房氏は証券関係者や投資のプロへ取材を重ね、実践に役立つエピソードや教訓を盛り込んでいる。

インベスターZの特集記事が全7ページにわたって掲載されている。その中で面白い記事をピックアップしてみたい。

損切りができれば塩漬け株にはならない

ここで財前が学ぶのが、塩漬け株をいかに作らないようにするか。そのために投資家の心理が説明される。株価が下がると「今売ると損が出るから」となかなか損切りに踏み切れない。しかも、損は「し始めたとき」と比べて「よりひどくなるとき」のほうが、苦痛が少ないと言われる。

これは投資家のほとんどが共感する言葉だろう。

漫画の中では、行動経済学における重要な理論の一つ、プロスペクト理論が投資家心理にそって解説される。

主人公である財前が100億円の運用を任されて、最初に投資した銘柄がゲーム会社だ。なんといきなり30億円もの金額を1銘柄に投資する。

その後保有銘柄は思惑通りに上昇するのだが、欲深さから手仕舞い時に迷いが生じ、利益を減じてしまう。

かろうじて利益を出すものの、利食い(手仕舞い)の難しさを痛感させられる主人公。

株は入り口にあらず、出口にあり

財前がゲーキチ株の売買で学ぶのは、「株は買うことよりも売ることのほうが重要」だということだ。(中略)

学校の運営資金を任されている財前は、一定の運用成績を求められるプロの投資家に近い存在だ。そのため、こうした損切りの重要性を最初に学ぶ必要があった。

「株は入り口にあらず、出口にあり」なかなかの名言だ。仕掛けより手仕舞いが難しいことはトレーダーなら誰でも身にしみて知っていることだ。

特に含み損が発生した祭の損切りのタイミングは、なかなか一朝一夕で身につくものではない。どうしても欲がでてしまい、自分のルールを守れなくなってしまう。

ゴールドラッシュに銘柄選びの本質あり

ゴールドラッシュでは金採掘よりも、その周辺のニーズを取り込んだビジネスで成功を収めたのだと。

このエピソードは、株式投資の本質を物語っている。単純に言えば株価が安い時に買って高く売れれば、大きな利益を得ることができる。

そのためには、将来の値上がりが期待できる有望銘柄をほかの投資家が注目していない時期に仕込んでおくことが肝心だ。

ゴールドラッシュに湧いた19世紀、多くの欲深き人間が成功を求めて金採掘場に群がった。しかしその場で大きな稼ぎを得たのは、採掘者ではなく周辺で事業を始めた人たちだ。つまり、作業用ズボンを販売して後に大企業になったリーバイスや、採掘用の道具(ツルハシなど)を販売した業者などだ。

その教訓を株式投資に反映させて、銘柄選びのヒントを提供してくれている。人と同じ行動をしていても、大きく稼ぐことは難しいということだ。

だれも注目していない銘柄で、かつ将来有望な銘柄をいかに早く見つけてくるか、簡単なようで非常に難しい戦略だ。

3つの教訓「人気株ばかり追うな」「慎重、謙虚を肝に銘じよ」「先人の知恵に学べ」

インベスターZには3つの教訓が登場する。

  1. 人気株ばかり追うな
  2. 慎重、謙虚を肝に銘じよ
  3. 先人の知恵に学べ

どの教訓も、あたり前のことですが、多くのトレーダーが見過ごしがちのものばかりだ。特に慎重・謙虚を肝に銘じよという教訓は、耳が痛い。

初心者ほどビギナーズラックなどで思わぬ利益を手にすると「自分は投資の天才なのでは?」などと勘違いし、謙虚さを失いがちだ。

私自身は”相場からおこぼれを頂く”という気持ちでトレードしており、謙虚さを失わないように常に自制している。

投資を勉強しろ、しかし投資は勉強できない…

「投資を勉強しろ
しかし投資は勉強できない
この矛盾を解明するまでこの部屋への出入りを禁ずる」

投資部のキャプテンに、まるで禅問答のような問いかけをされる主人公。投資を勉強しろ、しかし投資は勉強できない…この矛盾を解明できるか?

主人公の財前は、このキャプテンの問いかけに対し、自分なりの結論を導き出す。

財前は「投資の勉強とは自分で問題を作り誰よりも先に解くこと」と答え、一番大切なのは「未来を予測する力だ」との結論を導き出す。

なんとも奥が深い。ただ、未来を予測するというのはどうなのか?私はちょっとこの考えには否定的だ。予測をするという点において、すでに放漫さがあるように感じるからだ。

私のトレードはむしろ、相場についてく、というスタイルだ。我々個人投資家は、たとえるとするならば”小魚(イワシ)”だ。そして相場を動かす機関投資家連中はクジラである。そのクジラが大海を自由気ままに泳ぎ、大きな流れ(うねり)を作り出している。私はクジラの流れに逆らうことなく、コバンザメのようにクジラにくっついてその「おこぼれ」をいただく、という意識でトレードをおこなっている。いまのところ、このやり方で大きなやけどはしていない。

投資のスタンスは人それぞれなので、何が正しくて間違っているなどとは言えない。インベスターZで語られた「未来を予測する力」も大切な要素なのかもしれない。

投資のプロはインベスターZをどう読んだか?

特集の最後で、独立系投資運用会社レオス・キャピタルワークス最高投資責任者、藤野英人氏に、インベスターZの感想を聞いている。

この記事がなかなか面白い。

財前が実在したらファンドマネージャーとして採用するが、投資手法は取り入れない。

と述べている。その理由が明快で興味深い。詳しくは週刊東洋経済を購入して読んで欲しい。

「買いません」「だったら売りですよ」

もう一つ、興味深い話がある。

あるセミナーで、保有している塩漬け株をどうしたらいいかと相談を受けた。

「今おカネがあったら、その銘柄を買いますか」と質問したところ、「買いません」と。「だったら売りですよ」と答えた。

大切なのは買値ではなく時価で考えることだ。

これは本当に身につまされる話だ。塩漬け銘柄を損切りすべきかどうか判断する際に、どうしても買った時の値段を意識してしまう。この金額で買ったものを今の値段で損切れば、これだけの損失が出てしまう…と考えがちだ。

でもそれは”自分の事情にすぎない”と、藤野氏は一蹴する。

冷静に考えれば、今その銘柄を買わないのであれば、即損切りすべき。その時の時価が買うべき値段ではないのであれば保有している理由がない。

非常に示唆に富む話だ。

週刊東洋経済は良記事が多い

週刊東洋経済「買っていい株ダメな株」特集の中から、インベスターZに関する記事を取り上げてレビューした。

それ以外にも非常に面白い記事が揃っている。一例を上げると、

  • 株式投資のススメ(お笑い芸人天野ひろゆき)
  • 四季報完読の達人が教えるお宝銘柄はこう探せ!
  • 日経平均2万円は通過点。好需給で進む「さらなる高み」
  • 実践で役立つ投資アイデア

また機会があれば、取り上げてレビューしてみたい。

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